宿題 #7(匿名希望)

※この文章は「宿題割引」でVOLUME 1『うみべのクロノス』を観劇した来場者によるレビューです

お名前
匿名希望

観劇日時
2018年3月23日 14時00分


血の繋がらない家族との生活、それだけの変化でもしんどいだろうに(それはヒバナもだけど)父と妹の関係を知ってしまってからの生活。不穏な空気を感じて必死でそんなことは無いと思いたい気持ち。もう隠すことも目をそらすことも出来なくなってしまってからの生活。受け入れがたい現実を受け入れないまま逃げ続けることも出来るが…という心の動きが見ていて辛かった。ヒバナとは違った辛さ。ヒメも被害者なのに。なんで嫌なことに自分から向かってこじ開けていかなきゃ、対面しなきゃならないのか。ヒメが相手(父・ヒバナ)に対して出来る精一杯が台詞から佇まいから伝わって一緒に罰を受けている気持ちになった。なんの罰かもわからない罰。

先生ってなんでしょうね。寄り添い、導く、なんて難しいんだろうと思う。全知全能じゃないのに求められているものが多い。同じ人間なのに。先生はどんな気持ちで彼女たちを見ていたのか。出てはこないけど沢山いる生徒の中の2人。何人もの生徒を見て来た中での2人。でも手当の仕方を教えてくれたことはヒバナにとって良かったのか。(良かったと思いたい)あの後の治らない傷の手当ての仕方も教えてあげて欲しい。

居残りはずっと楽しかったけどそれは一緒に居残る友達が居たからだなと思った。誰も居ない、ましてや自分が居残りしていることを誰も知らないなんて。終わりの見えない居残り。最後にヒメと話せて良かったね。ヒメは見て居てもらえてよかったね。誰かがクロノの事を見て居てくれたらいいのにと思った。

ただただ辛かった。黙っていることも、差し伸べられた手を拒否することもそれを傍観していることも辛かった。嫌な予感をはじまりから感じ続け、ヒメよりも先に気づいたのに何も出来ない。重たいものがずっと身体の内部にある。髪を切った抵抗。何も信じられない気持ち。最後にヒメを待つのはヒメのことは信じられると思ったのでしょうか。わかりませんがただ、彼女がこれからを幸せに歩んで欲しいと願うばかりです。こんなことはおかしいし辛すぎます。

心のバランスが崩れた人間はどのようにして労われば良いのかわからない。肉親だったら尚更。一緒になって落ちてしまう可能性も十分にあり得る。自分の精神がまともじゃないと無理だと思う。彼女たちには重すぎた。彼女たちにはまだ子供なのに。

しんと静かな空気と建て込みのない装置が物語の余白となって観やすかった。袖もなく、出番を終えた役者さんが無表情になり椅子に座っている。くるくる入れ替わり立ち替わり言葉を交わす。独白する。だんだんと輪郭がが見えてくる様が怖かった。

音響の虫の音や時計の音も舞台と現実を曖昧にしていてよかった。出来ればラジオの音声がもっとリアルだとよかった。

舞台横の灯台がかっこよかった。時間も短く(かといって、それを感じることなく)観られて。内容が内容だけに長いともっとしんどかったかもしれない。

アートワークの可愛さと舞台の内容のギャップはアートワークの情報のみで来ているとちょっと驚くかもしれない…(前回見ていたのでなんとなくは察していたけど)でも毎度アートワークとデザインはとても凝っていて可愛いなと思う。

衣装からきっとこの学校は所謂「いいとこ」の学校なのかなと。ちょっと時代遅れというかなかなかないタイプの制服で好きでした。ファンタジー感があって逆に救われた。リアルな制服だとキツかったかもしれない。

観劇した日はちょうど桜が咲き始めて、でも曇り空で外に出てからも舞台の空気を若干引きずってしまった。海が近くになくてよかった。

次回公演がどんな感じになるのか楽しみです。